意味を的確に伝えよう ~論理接続詞と曖昧接続詞~
高杉尚孝氏の著書、「論理的思考と交渉のスキル」第3章にある「曖昧接続詞」についての記述が”実に”おもしろいので紹介しよう。必見である。
曖昧接続詞とは?
著者の言葉を借りると
曖昧接続詞とは、「〜あり」「〜おり」「〜が」「〜き」「〜し」「〜て」などに代表される、メッセージとメッセージのつながりがはっきりしない接続詞のことです。
via:「論理的思考と交渉のスキル」 P87-88
とのこと。
具体例
「情報化社会が到来し、PCスキルの獲得を求められている」
この文には2つ解釈が存在する。
1つ目は「情報化が到来し」と「PCスキルの獲得〜」のそれぞれが独立しているケース。
2つ目は「情報化が到来し」を受けて「PCスキルの獲得〜」が成り立つ帰結の関係を持つケース。
恐らく「どう考えても1つめの解釈しか無いだろう」と思った人はいるはずだ。
ではこの文ではどうだろうか?
「現代社会では、情報化社会が到来し、情報がちまたに溢れており、次々と新しい情報・サービスが増え、情報を見極める能力が問われており、PCスキルの獲得を求められている」
この用に何個もメッセージが複雑に絡み合うと、受取り手に解釈の余地を与えてしまう。この場合では、「情報化社会が到来したからPCスキルが必要なのか」、「新しい情報が次々と入ってくるからPCスキルが必要なのか」、「情報を見極める必要があるからPCスキルを求められるのか」様々な解釈の余地がある。
解釈の余地が残ると、メッセージの送信者と受信者の間にギャップが生まれてしまうこともある。そしてギャップが生まれたとき、送信者は受信者のことを「あいつはオレの言っていることを理解しようとしない」と思い込んでしまったりする。逆に、受信者は送信者に「聞いていた話と違う」と言ったり、「あの人は意見をコロコロと変える人だ」と思い込んでしまうこともあるわけだ。
なぜ曖昧接続詞を使ってしまうのか? それを直すにはどうすればいいか?
この本を読むまで、僕もしょっちゅう「曖昧接続詞」を使っていた。理由は2つ。ひとつは曖昧接続詞を意識していなかったから。そしてもう一つは、「曖昧接続詞」を使うと「それっぽい雰囲気」を持った文章を簡単に書けてしまうからだ。
しかし、曖昧接続詞で結ばれた複数のメッセージは、それぞれに帰結関係があるのか、それぞれが独立関係があるかを明らかにしない。そしてその結果、送信者と受信者の認識にギャップを生じさせてしまうわけだ。
では、「曖昧接続詞」を使わないようにするためにはどうすればいいのか? 答えは簡単。意識的に「曖昧接続詞」を一切使わないに限る。そして、代わりに「論理的接続詞」を使う。
「論理的接続詞」について、作者の挙げた例を見ると
【論理的接続詞】 ~の結果 / ~にも関わらず / ~して以来 / ~に加えて
via:「論理的思考と交渉のスキル」 P100
と、ある。
「Aの売り上げが増加した結果Bが起きた」や「Aの売り上げが増加したにも関わらずCが起きた」と言う文章は、A、B、C帰結関係を明らかにする。
そして、「~して以来」は時間的な帰結関係を明らかにする。
また、「Aの売り上げが増加した結果、Bに加えてCも起きている」と言う文章では、AとB、AとCの帰結関係を明らかにすると同時に、BとCの独立関係も明らかにするのだ。
このように、論理的接続詞は各メッセージの関係を明らかにする。その結果、送信者の意図が詳細に受信者に伝わり、二者間での認識のズレがなくなるというわけだ。
英語の文章は「論理接続詞」だらけ
そもそも英語という言語は論理接続詞によって成り立っている言語です。ですから、日本語で曖昧接続詞を多用されている方が、英語を書くときにだけすぐさま論理接続詞を巧みに操る事ができるかというと甚だ疑問です。
via:「論理的思考と交渉のスキル」 P
と、作中にもあるとおり、英語は論理接続詞で構成されている。「so」「therefore」「otherwise」「nevertheless」のように、メッセージを結ぶ接続詞の殆どがメッセージ同士の関係性を表すものなのだ。この事実に加え、意識的に論理接続詞を使うことを組み合わせると、以下のような流れが起きるだろう。
日本語で論理接続詞を普段から意識することによって、自然に論理接続詞を使えるようになる。
↓
その結果、日本語の文章を頭の中で英語のセンテンスに変換する際に自然と対応する接続詞が明確になる。
↓
そして、(接続詞に関して)英語の文章を悩まずに書けるようになる。
まとめ
以上をまとめると、論理接続詞には2つのメリットがある。
- メッセージの関係を明確にするため、送信者と受信者の認識のズレをなくすことができる。
- 論理接続詞を普段から使うことにより、論理接続詞の習慣が身につく。その結果、日本語から英語に変換するときに「この接続詞は英語でどういえばいいのだろう?」と迷う機会が格段に減る。
これは曖昧接続詞を使った際のデメリットの裏返しでもある。「メッセージ受信者と認識がずれることが多々ある」と言う方、そして「英語で論理的な文章が書けない」と思っている方は、論理接続詞を意識してみると現状を打破できるかもしれない。お試しあれ。
因みにこのエントリも若干論理接続詞を意識している。どうだろう、わかりやすいだろうか?



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