チャートで語れ! ~マッキンゼー流 資料作成法~ 後編
かなり間が空いてしまいましたが、前編に引き続きいよいよ後編です。今回は体系化されたチャート作成のフローをご紹介します。
後編は参考図書である「マッキンゼー流 図解の技術」を、「より短く」、「より分かりやすく」の2つを目指してまとめたものです。
今回のエントリのトピックは
- 覚えておきたい5つの基本チャートフォーム
- チャート作成の手順とその概要
- ステップ 1 ~メッセージを決めよう~
- ステップ 2 ~メッセージから比較方法を見極める~
- ステップ 3 ~比較方法からチャートフォームを選択する~
- チャート作成のまとめ
- 最後に
の6つです。それでは始めましょう。
覚えておきたい5つの基本チャートフォーム
前編にも書いた通り「チャート」という言葉は「表や図表、グラフの総称」なので、対象が無数にあるわけですが、まずは基本的なチャートを5つ頭に叩き込んでもらいます。
それぞれ「パイチャート」、「バーチャート」、「コラムチャート」、「ラインチャート」、「ドットチャート」と呼ばれるものです。このエントリでは、これらの名称を多用しますので覚えておいて下さい。画像はクリックで大きなイメージが表示されます。
チャート作成の手順とその概要
チャート作成はExcelのデータを基に、「このグラフがいいかな」といった感じに直感的に作ってはいませんか? 少なくとも僕はそうしていました。何も考えてずに作っていたわけではありませんが、今考えれば適当にチャートを作っていたのだなと思います。
それもそのはず、チャート作成には決まりきった手順が存在するのです。そのステップは以下の3段階に分かれます。
- 主張したいメッセージを決める
- 比較方法を見極める
- チャートフォームを選択する
どうでしょう、たったこれだけなんです。後でそれぞれ個別に詳しい説明をしますが、念のため簡単な説明をしておきます。
まず、1つ目の「主張したいメッセージを決める」について。これは、個別のチャートにメッセージを込めることで、「プレゼンターが何のためにチャートを使っているのかを示そう」ということです。
そして、2つ目の「比較方法を見極める」について。「比較方法」って何?、と疑問を抱く方もいるかもしれませんが、これはリトマス試験紙だと思ってください。ステップ1で決めたメッセージが「川の水」だとしたら、リトマス紙 (比較方法)を通して、「酸性」や「アルカリ性」(チャートフォーム)が自動的に決まるのです。
最後、3つ目の「チャートフォームを選択する」についてですが、これは上述した通り、比較方法を通して、最適なチャートフォームを選択するステップです。比較方法は5つあるのですが、これが見事に最初に示した5つの基本チャートフォームとマッチするんです。
さて、概要を説明したところで、次はそれぞれに関する細かい解説をしましょう。1つめの「主張したいメッセージを決める」についてです。
ステップ 1 ~主張したいメッセージを決める~
まずは下記の画像をご覧ください。
「契約数の推移」というタイトルのこのグラフから、あなたは何を読み取りましたか? 恐らく考えられうるのは以下の4つでしょう。
- 契約数が増加してきている
- 契約数は変動している
- 8月に契約数が最高に達した
- 期間中、2回契約数が減少した
さて、何の変哲も無い1つチャートから4つもメッセージ候補が浮かび上がりました。これを携帯電話の契約数についてのラインチャートだとすると、王者Docomoは順調に契約者数が増加していることを示すために、メッセージ1を使って「我が社の契約数が増加してきている」と言うかもしれませんし、契約数の減少した月が少ないことを示すために、メッセージ2を使って「我が社の契約数は2回しか減少していない」と言うかもしれません。
もちろん、会社や部署の置かれた状況からは1つの意味しか持たないこともありませんが、このように、全く同じチャートを使っても異なるメッセージを伝えることができるわけです。逆に言えば、プレゼンターがメッセージを示さない限り、聞き手が本来の意図とは違うメッセージを認識する可能性があるのです。
「君のことが好きだよ」と言ったときに、相手の女性はどう捉えるでしょうか? 本当は「君のことだけが好きだよ」と意図した発言も、状況次第では「他にも好きな人がいるけど、とりあえず今は私のことが好きなのね」と捉えられるかもしれませんよね。「だったら始めから『君のこと”だけ”が好きだよ』と言おうよ。」というのが「チャートのメッセージを決める」ということなのです。
ステップ 2 ~比較方法を見極める~
メッセージを設定することの重要性は理解できたでしょうか。次は、リトマス紙に例えた「比較方法」について説明します。
まず、比較方法は以下の5つに分かれます。
- コンポーネント比較法
- アイテム比較法
- 時系列比較法
- 頻度分布比較法
- 相関比較法
それぞれの比較方法は、ステップ1で設定したメッセージに従って決定されます。どのように決定されるかというと、チャートのメッセージに含まれるキーワード(参考図書内では「トリガーワード」と呼ばれる)によって決まるのです。
例えば、コンポーネント比較法のトリガーワードは「シェア」、「○○%を占める」、「全体に対する割合」などです。 つまり、ステップ1で「商品○○売上シェアはA社の32%を占める」なんてメッセージを設定したならば、間違いなくコンポーネント比較法を検討しなくてはいけないのです。
それぞれの比較方法の「特徴」「メッセージの例」「トリガーワード」を文章にすると無駄に長くなってしまうので、僕が作った以下のスライド画像を参照してください。
ステップ 3 ~比較方法からチャートフォームを選択する~
さて、いよいよ最後のステップです。ここでは「比較方法からチャートフォームを選択する」のですが、トリガーワードに対応した比較方法を選択したように、比較方法に対応したチャートフォームを選択するだけの機械的なステップなのです。
例えば、コンポーネント比較法に対応するチャートは2つあり、1つはよく使われるパイチャート、そしてもう1つはコラムチャートです。候補が2つあることに戸惑いを覚えるかもしれませんが、「パイチャートを2つ並べるならコラムチャートを使う」というルールが存在するだけなので焦る必要はありません。
比較方法のときと同様に、文章では分かりにくいので画像を列挙します。
それぞれの比較方法に対応したチャートが存在することを掴めましたでしょうか? 「チャート作成の流れは理解できたけど、『比較方法』と『チャート』が合計10個もあって良く分からん」という方のために、とっておきの表を用意しました。チャート作成の手順さえ頭に入っていれば、これを見るだけでチャートが作れる優れモノです。
チャート作成のおさらい
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。念のためチャート作成の手順をおさらいしましょう。
以下の3ステップからチャートを作ります。
1. チャートのメッセージを設定する
2. メッセージに含まれるトリガーワードから、比較方法を検討する
3. 比較方法に対応したチャートを選択する。
お気づきの方もいるかもしれませんが、ステップ2と3は機械的な作業に過ぎず、「メッセージを設定した瞬間にチャートが決まっている」のです。それはつまり、メッセージの設定が何よりも重要であることに他なりません。
最後に
「○○のシェア」や「××の推移」といったタイトルのみが書かれているチャートを目にしたことはありませんか? また、そういったチャートを作ってはいませんか?
もちろん、タイトルをチャートの上に示すことは否定しません。ただ、タイトルとは別にきちんとメッセージを書くようにしましょう。そうすれば、最適なチャートを選択できるだけでなく、聞き手がより理解しやすいプレゼンテーションをすることができるのですから。
それと、プレゼンを作り始める前によく考えてみて下さい。なぜプレゼンをするのかを。他に手段はないのかを。表現手段は無数にあります。「何を言ってるの?」と疑問を抱いた方は、エントリの前編を是非ご覧ください。














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